2025 AUTOBACS SUPER GT ROUND1 OKAYAMA GT300KM RACE|大荒れの開幕戦は、au TOM’S GR Supraが3連覇へ向け好発進。
2025年のSUPER GTが、春の岡山でいよいよ幕を開けた。開幕戦は天候に翻弄される波乱の展開。GT500は王者の1号車が貫禄の勝利を収め、GT300ではペナルティをものともせず65号車LEON PYRAMID AMGが劇的な逆転勝利を飾った。
4月12〜13日、岡山国際サーキットで行われたAUTOBACS SUPER GT ROUND1 OKAYAMA GT 300km RACE。3月の2度にわたる公式テストを経て迎えたこの週末は、土曜日の予選日こそ青空が広がる好天に恵まれたが、日曜日の決勝は一転して雨模様となり、レースは大荒れとなった。
土曜日の公式練習は午前9時30分からスタート。コースサイドには春の桜が咲き、各車が慎重に周回を重ねながら、サーキットにはGTマシンの咆哮が響き渡った。午後の予選はドライコンディションで行われ、2024年に導入されたタイム合算方式に代わって、2023年以前に採用されていたノックアウト方式が復活。GT500ではQ2進出台数が10台に増やされ、GT300も各グループ9台ずつがQ2へ進む形式に。Q1とQ2でそれぞれ1セットのタイヤを使えるルールも変更点のひとつだ。
GT300クラスでは、4号車グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)がQ2終盤に渾身のアタックを決め、ポールポジションを獲得。王者0号車VENTENY Lamborghini GT3はQ2進出こそ果たしたものの、15番手とふるわなかった。GT500では、午前中から好調だった1号車au TOM’S GR SupraがQ1でも速さを見せたが、Q2では14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)がコースレコードを更新し、ポールを奪取。2番手には1号車が続いた。
迎えた決勝日、天候は一変し朝から雨。セーフティカー先導でレースがスタートしたものの、開始早々の5周目、GT500クラスで1コーナーにて多重クラッシュが発生し、赤旗中断となる。GT300でも777号車D’station Vantage GT3が初音ミクAMGからトップを奪った直後に赤旗が掲出された。
再開後、SC先導のもと11周目にレースがリスタート。D’stationが再び先頭を引っ張り、後方からは初音ミクAMGがトップとの差を詰めていく。そしてパイパーコーナーで両者は接触。首位を奪い返した4号車にドライブスルーペナルティが科され、6番手まで後退することとなった。
トップに浮上したのは、65号車LEON PYRAMID AMG。好ペースで後続との差を築き、レースの中盤、43周目にピットイン。レインタイヤのまま無交換でコースに復帰する作戦に出た。ところがレースが進むにつれて雨は止み、路面はドライ方向に変化。こうした状況を読み切った18号車UPGARAGE AMG GT3と4号車初音ミクAMGはスリックタイヤへの交換を決断し、これをきっかけに各チームも続々とタイヤをスリックへと履き替えていった。
1ピット作戦をとったチームはそのまま走行を続けたが、早めにピットに入りレインタイヤを履いたチームは再度のピットインを余儀なくされる展開に。1ピットで済ませた18号車UPGARAGE AMG GT3は、2ピットとなった65号車LEON PYRAMID AMGをかわし、一時トップに立つ。26号車ANEST IWATA RC F GT3も同様に1ピット作戦を成功させ、3番手に浮上した。
しかし63周目、GT500でのアクシデントにより再びFCYとSCが導入され、各車のギャップはリセット。冷えたタイヤとともに、残り10周のスプリント勝負へと突入する。リスタート後、65号車が18号車との激しいバトルを制し、再び先頭に返り咲いたが、両者はこの接触で18号車がコース外に押し出され、65号車には5秒のタイムペナルティが科される。
残り周回はわずか。だが65号車は焦ることなく淡々と周回を重ね、ラスト数周で14秒以上のギャップを築く。最終的に14.718秒差をもってトップチェッカーを受け、ペナルティを覆しての優勝を果たした。2位にはANEST IWATA RC F GT3、3位にはリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが続き、GT300は最後まで目の離せない戦いとなった。
一方のGT500クラスも、序盤から終盤までクラッシュが相次ぎ、さらに変わりゆく天候に各チームの戦略が翻弄される展開に。そんななか、ポールスタートの14号車に競り勝った1号車au TOM’Sが、王者らしいレース運びで開幕戦を制した。2位にはENEOS GR Supra、3位にはDENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)が入賞した。
FCYは2度、SCは4度、さらにはウエットからドライへの変化と、開幕戦らしい混乱に満ちた岡山。予選方式の復活も含め、今季のSUPER GTはさらに混戦が予想される。次戦『FUJI GT 3HOURS RACE』は、5月3〜4日に富士スピードウェイで開催される。
写真=南 博幸/鈴木華子 文=三家香奈子