今シーズンも激戦!2025スーパーフォーミュラプレビュー
世界最高峰F1に次ぐ速さを誇る国内トップカテゴリー、全日本スーパーフォーミュラ選手権。「世界最高峰のHUMAN MOTORSPORTS」を掲げ、国内外問わず若手ドライバーから注目を集めており、近年では非常に接戦が繰り広げられている。そんな人気を集める国内最高峰のフォーミュラシリーズにおける2025年シーズンの見どころを、開幕前テストの様子とともにお届けする。
フォーミュラ・ニッポンのDNAを引き継ぎ、2013年に名称が改められたスーパーフォーミュラは、ドライバーだけでなく多くの観客からも人気を集めており、2024年は過去最多となるシリーズ累計約21万人を集客した。今季はさらなる進化を目指してパワーアップしており、さらに注目が集まること間違いなしだ。
まず、前年度よりレース数が3レース増え、シリーズ過去最多となる全7大会12レースで争われる。開幕戦の三重県・鈴鹿サーキットを皮切りに、栃木県・モビリティリゾートもてぎや静岡県・富士スピードウェイなど、全国の5つの主要サーキットで開催される。大会によっては1大会2レース制も導入されており、土曜日と日曜日の各日で予選と決勝がそれぞれ楽しめるのも魅力的だ。
ドライバーの実力だけでなく、レース距離の変更などチーム戦略の多様化も求められるレースフォーマットに一部改められた。また、レースタイヤにおいても再生可能原料・リサイクル原料の比率46%を実現したタイヤを使用するなど、環境にも配慮した取り組みが行われている。そのほか、2025年よりF1ドライバーになるために必要なFIAスーパーライセンスポイントの付与ポイントが増加された。
レースだけでなく、今季から新たな取り組みとして「パートナーDAY」が実施される。2レース制大会時の金曜日を活用し、地域学生の招待、リクルーティングを目的としたチームのピット見学ツアーやエンジニアとの交流など、さらなる発展に向けた取り組みが始まる。さらに、小・中学生を対象にモータースポーツに関わる職業体験ができる「Out of KidZania in SUPER FORMULA」も引き続き開催される。
レース開催日となる土曜日と日曜日には、レースだけでなくピットウォークやグリッドウォークといったイベントも満載だ。専用のチケットが別途必要にはなるが、各ドライバーのサイン会が実施されるほか、各チームのノベルティグッズ配布、決勝レース前にホームストレート上に整列したマシンを間近で見ることができるなど、より一層スーパーフォーミュラを楽しむことができるイベントが用意されている。
ドライバーやチーム関係者と近い距離で楽しめるコンテンツが目白押しだが、さらにお気に入りの選手を見つけたら“推し活”グッズも充実しているのが魅力だ。近年では、すべてのフル参戦ドライバーにおけるタオルやバッグ、ウェアやキーホルダーといった個人の応援グッズが公式から販売されており、幅広い年代のファンが応援グッズを身にまとって現地で声援を送っている。
また、有料コンテンツではあるが、「SFgo」というスマートフォンアプリをダウンロードすると、ドライバーやチームの無線を楽しむことができ、より一層レースを身近に感じられる。スーパーフォーミュラの楽しみ方は人それぞれだが、2025年シーズンはドライバーおよびチームのラインアップにも注目が集まっている。
前年度王者の坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)や、再び王座奪還を狙う野尻智紀(TEAM MUGEN)のチャンピオン争いが期待される。他にも、元F1ドライバーの小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、F2およびF1のテストにも参加経験のある岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権など海外でも活躍する太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)など、強豪ドライバーが多数集結。
また、今季は6名の新しい顔ぶれに加え、新規チームの参戦や、シリーズ唯一の女性ドライバーとなるJuju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)が2年目の参戦を迎える。他にも、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)のスーパーフォーミュラ復帰や、F2経験がありF1ウイリアムズの元育成ドライバーであるザック・オサリバン(KONDO RACING)など、多くの外国人ドライバーが参戦。
さらに、スーパーフォーミュラライツの2024年度王者である小出峻(San-Ei Gen with B-Max)ら、全13チーム22名のドライバーがエントリーしており、さらなる激闘が期待される。今季はドライバーだけでなく、エンジニアの移籍やラインアップにも大きな注目が集まっている。
最大のトピックスは、かつて野尻智紀を2度のスーパーフォーミュラ王者に導いた一瀬俊浩氏がTEAM MUGENからThreeBond Racingへ移籍したこと。さらには、ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULにオリバー・ラスムッセンの担当としてIMSAのエンジニアリングに携わっていたオスカー・ゼラヤ氏が加入したことも、大きな変化となっている。
例年以上に“読めない”スーパーフォーミュラの開幕が待ち遠しいが、幕開けはすぐそこまで迫っており、3月7~8日に三重県・鈴鹿サーキットで2025年シーズンがスタートする。開幕に先駆け、2月18~19日には三重県・鈴鹿サーキットで公式テストが実施され、フル参戦ドライバーおよびチームが一堂に集結した。
今シーズンもスーパーフォーミュラの激戦から目が離せない。ぜひ、お気に入りの選手を見つけ、現地でその熱気を体感してみてはいかがだろうか。
写真=南 博幸/三家香奈子 文=三家香奈子 編集=濱田寧々