激闘のS耐初戦、seven x seven PORSCHEが鮮烈デビューウイン!|第1戦 もてぎスーパー耐久 4 Hours Race
3月22〜23日、栃木県・モビリティリゾートもてぎにて「ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE」の開幕戦、「もてぎスーパー耐久 4 Hours Race」が開催された。
春の陽気に包まれたもてぎの地で、2025年シーズンの火蓋が切って落とされた。
「S耐(えすたい)」の愛称で親しまれるスーパー耐久シリーズは、1999年に発足した日本最大級の参加型レースイベントだ。
SUPER GTに参戦するトップチームをはじめ、国内外の自動車メーカー、そして個人のプライベーターまで——実に多彩な顔ぶれが集う。
2025年シーズンからは新たに1クラスが加わり、全10クラスでシリーズが争われる。参戦マシンは市販車ベースのツーリングカーを中心に、GT3やGT4車両、水素やカーボンニュートラル燃料を使ったメーカー開発車両まで多岐にわたる。そのラインアップの幅広さもまた、S耐ならではの魅力だ。
会場を彩るのは、レースだけではない。2024年から始まった「S耐横丁」をはじめとする公式ブースがずらりと並び、イベント全体にお祭りのような賑わいを添えている。
公式グッズの販売や体験型コンテンツなど、観戦以外の楽しみも盛りだくさん。3〜5時間の決勝が基本だが、24時間耐久といったロングレースも存在し、テントを張ってキャンプをしながら、バーベキュー片手に観戦するファンの姿も珍しくない。
まさに、“参加するレース”の名にふさわしい、開かれたモータースポーツイベントだ。
2025年のS耐は、2021年以来となる栃木県・モビリティリゾートもてぎでの開幕を迎えた。国内の主要サーキットを舞台に、今季は全7戦で争われる予定だ。
大会によっては一部のクラスが出走しない場合もあるが、開幕戦「もてぎスーパー耐久 4 Hours Race」には全10クラスがエントリー。事前登録された参加台数はなんと60台。多彩なマシンが集結し、開幕から熱気に包まれた。
エントリー数の多さに対応するため、レースは2日間にわたって開催され、各グループに分かれて予選と4時間の決勝レースが行われた。
中でも注目を集めたのは、2017年に新設されたST-Zクラス。SROが発行するBOPに則ったGT4公認車両、もしくはそれに準ずるモデルで争われるカテゴリーだ。今回のもてぎでは、土日両日でレースが行われるダブルヘッダー方式が採用され、GR Supra GT4 EVO2やMercedes-AMG GT4など、計11台がエントリーした。
3月22日に行われた決勝には、ST-Z、ST-TCR、ST-4、ST-5F/Rといった5クラスが出走。午前中の予選では、2024年王者の52号車・埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2が堂々のポールポジションを獲得した。
だが、午後の決勝では序盤から波乱が訪れる。2番手スタートの25号車 raffinée 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4と、3番手の26号車が一気に先行。ポールシッターの52号車をかわして、日産勢がレースを引っ張る展開となった。
日産自動車大学校の学生やディーラーメカニックが参画し、人材育成をテーマに活動するTEAM ZEROONE。
この日、25号車と26号車の“メカチャレZ”が完璧な連携を見せ、ワン・ツー体制を築いた。
そのままレースを主導し続け、ノートラブル&ノーペナルティでチェッカー。25号車が総合優勝とクラス優勝を果たし、26号車も2位で続く。開幕戦から鮮やかなワン・ツーフィニッシュを決めてみせた。
3番手には、ポールポジションからスタートした52号車・埼玉 GR Supraが続いた。2台に先行を許したものの、果敢に3位をキープ。
しかし、レース終盤、残り1時間というタイミングでトラブルが襲う。接触の影響か、リヤバンパーが脱落するアクシデントに見舞われた。
それでもドライバーは冷静だった。懸命に走り続け、ダメージを抱えたままチェッカーまで持ちこたえ、意地の3位表彰台をつかみ取った。
ST-TCRクラスでは、2リッター以下のターボエンジンを搭載したFF(前輪駆動)の4〜5ドア車両による接戦が展開された。
ポールポジションからスタートした96号車 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICが安定した走りを披露。終始リードを守り切って、ポール・トゥ・ウインを決めた。
2位には19号車 BRP★NUTEC 制動屋 CUPRA TCR、3位には98号車 WAIMARAMA Elantra N TCRが続き、いずれも実力派が順当に表彰台を獲得した。
翌23日は、ST-X、ST-Z、ST-Q、ST-1〜ST-4と、計7クラスが決勝に出走した。
中でも注目は、FIA GT3車両によるトップカテゴリー・ST-Xクラスのシーズン開幕。スーパー耐久初参戦となる666号車 seven x seven PORSCHE GT3Rが、午前の予選で鮮烈なパフォーマンスを見せ、ポールポジションを獲得した。
迎えた決勝でも、その速さは本物だった。スタート直後から他車を寄せつけず、666号車はみるみるうちにリードを拡大。
終始ノートラブル・ノーアクシデントで走り切り、デビュー戦にして文句なしの総合優勝を飾った。
2位には、4番グリッドからスタートした23号車 TKRI松永建設AMG GT3が食い込む。序盤に鮮やかなオーバーテイクを連発し、ポジションを押し上げた。
3位にはHitotsuyama Audi R8 LMSがつけていたが、レース終盤に思わぬトラブルが襲う。ガス欠によって失速し、無念の表彰台圏外へと後退してしまった。
その隙を突いたのが、31号車 DENSO LEXUS RC F GT3。粘り強く走り切り、最終盤での逆転劇を見せて3位に滑り込んだ。
この日2レース目となったST-Zクラスは、885号車 シェイドレーシング GR Supra GT4 EVO2がポールポジションを獲得。レースでも好スタートを決め、トップを快走していた。
だが、その背後から猛烈な勢いで追い上げてきたのが、52号車 埼玉 GR Supraだった。予選ではトラックリミット違反によりタイム抹消、最後尾スタートを強いられたが、レースでは序盤から圧巻の追撃を展開。
終盤にはついに首位に浮上し、そのままチェッカー。劇的な大逆転で勝利をもぎ取った。2位には885号車、3位には26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZが続いた。
開幕戦から各クラスで見応えあるバトルが繰り広げられ、S耐らしい熱気に包まれたモビリティリゾートもてぎ。
次戦、第2戦・鈴鹿は4月26〜27日に開催される。舞台は、三重県・鈴鹿サーキット。シリーズはここから、さらなる盛り上がりを見せていく。
写真=南博幸 文=三家香奈子