2024 AUTOBACS SUPER GT Rd.1 「OKAYAMA GT300km RACE」|開幕戦は、昨年王者のauトムスGRスープラが圧勝。
国内最高峰のハコ車レース、スーパーGTの2024年シーズンが岡山国際サーキットで開幕した。GT500クラスは、auトムスGRスープラが危なげない走りでライバルたちを圧倒。GT300クラスは、タイヤ無交換作戦を採用したムータレーシングGR86GTが優勝した。
冬の寒さを残す例年とは異なり、決勝スタート時の気温は27度にも達した岡山。オープニングラップからアクシデントが続出した。スタート直後の1コーナーで、エネオスXプライムGRスープラとモチュールオーテックZが接触。モチュールオーテックZはエアロパーツを破損してしまう。さらに、エネオスXプライムGRスープラは、リボルバーコーナーで、マレリ インパルZから接触を受ける。そして、アステモ シビック・タイプR-GTが、スピンをしたエネオスXプライムGRスープラを回避しきれずに追突してしまい、リタイアとなった。直後に、セーフティーカーが導入された。ピットがオープンしたのは5周目に入るところ。マレリ インパルZは破損箇所を修理して復帰するも、エネオスXプライムGRスープラはダメージが大きく、ガレージへ。スタートして早々に3台が勝負権を喪失する波乱の幕開けとなった。
予選から昨年王者の名に恥じない速さを見せたauトムスGRスープラは、8周目のリスタートで後続を一気に突き放すと、11周目にはファステストラップを叩き出す。坪井 翔から山下健太へとバトンタッチすると、デンソー コベルコ サード GRスープラに詰められる場面も見られたが、ついに実質的な首位を明け渡すことはなかった。最終的には、11秒もの差をつけて優勝。山下にとっては2022年開幕戦岡山以来の勝利であり、auトムスGRスープラは昨シーズンの第7戦オートポリスから続く連勝を3に伸ばした。
2位は、デンソー コベルコ サード GRスープラ。GRスープラ勢が速さを発揮した中で、激しい2位争いを演じたのが、スタンレー シビック・タイプR-GTだ。高いストレートスピードが期待される半面、岡山では苦戦が予想されたが、予選、決勝を通して確かなパフォーマンスを披露した。
予選方式と持ち込みタイヤの本数が変更されたことも今シーズンのトピック。特に参加台数の多いGT300の場合、上位グリッドを獲得するためには、Q1でトップ8に入ることが必須。当然タイヤへの負担が大きい。さらに予選で使用したタイヤは決勝スタート時での使用が義務となっている。昨シーズン、タイヤ無交換作戦で戦うチームが見られたが、今シーズンのそれは、予選Q1から決勝までを1セットで戦うということだ。この作戦が見事にハマったのが、ブリヂストンを使用するムータレーシングGR86GTである。2番手からスタートすると34周目にピットイン。フレッシュなタイヤではなくロスタイム削減を選択し、その後も終始安定した走りで開幕戦を制した。2位は、同じくブリヂストンを装着するレオンピラミッドAMG。ポールポジションからスタートすると、50周目にピットインし、タイヤ4本交換を選択した。先行するムータレーシングGR86GTをフレッシュタイヤで追いかけたものの、及ばず。無交換と4本交換。いずれの作戦であってもBS勢が強さを見せた。3位に入ったスタディBMW M4は、21歳のニクラス・クルッテンが躍動。昨シーズンは、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパで活躍したドイツ人ドライバーだ。スーパーGT初参戦ながら、GT500が絡む場面で、見事なオーバーテイクを披露した。
次戦は、5月3日(金祝)、4日(土祝)に富士スピードウェイで行われる。GT500を制したauトムスGRスープラは46㎏のサクセスウエイトを搭載するが、富士スピードウェイは得意なコースだ。同様にシビック・タイプR-GTも富士との相性が良いはずだ。また、ニッサン勢のうち2チームは、ミシュランからブリヂストンに変更されてから初レースだったこともあり、伸びしろという点ではもっとも期待される。 GT300クラスは、BS勢が一歩抜け出している印象だが、新規参入や復活を果たしたチーム、新しいマシン、初参戦のドライバーはこれから本領を発揮するはず。次戦以降も見どころは尽きない。
写真=南 博幸、鈴木華子