BBS FI-R Evo × 911 GT3 with Touring Package(Type992)|軽量化の限界への挑戦という究極の機能美を宿した傑作。
これみよがしでない主張は、GT3ツーリングとの相性抜群。
ポルシェとBBSの関係は、半世紀を超える深い絆で結ばれている。1970年代、グループ5カテゴリーで無敵を誇った935。そして80年代、グループCで旋風を巻き起こした956。いずれも、足元を支えていたのがBBSのホイールだった。
BBSの象徴ともいえるのがクロススポークデザインだ。センターパートからY字状に枝分かれし、リムへと伸びるその意匠は、レースシーンで培われた機能美の結晶である。そして現在まで、市販モデルにおいてもこのDNAは脈々と受け継がれている。注目のモデルが「RI-D」と「FI-R」だ。
「RI-D」は、超超ジュラルミン鍛造製法を採用した、軽さと剛性を極めたハイエンドモデル。一方「FI-R」は、アルミ鍛造製法に加え、ホイール本体に大胆な穴あけ加工を施すことで、さらなる軽量化を達成している。そして、このFI-Rの進化形が、2024年に登場した「FI-R Evo」だ。
最大のハイライトは、FI-Rを凌駕する“肉抜き”デザインだ。センター周辺だけでなく、リムとの接合部近くにまで及ぶ穴あけ加工は、見た目にも衝撃的だ。天面を薄く、縦断面を厚く設計するという理にかなった構造ながら、スポークはわずか5本にまで絞り込まれている。当然、1本あたりの負担は増大する。それでもBBSが挑戦を続けるのは、彼らが本物だけを求める真のエンスージアストに向けた製品づくりにこだわっているからだ。
今年の東京オートサロンでは、992型GT3ツーリングパッケージをベースとしたモディファイスタディが披露された。装着されていたのは、フロント20×9.5、リア21×12.0というサイズのFI-R Evo。特にリアは、昨年秋に追加されたばかりの新設定サイズだ。
そして、その佇まいをさらに引き立てたのが「シトリンゴールド」のカラーリング。華美に走らず、どこか品格を感じさせるこのカラーは、アンダーステートメントが信条のGT3ツーリングパッケージに絶妙なバランスでマッチしていた。
BBSが求めるのは、見せかけの派手さではなく、機能美と性能の両立。それは、走りにこだわる真のドライバーの心をつかむための信念にほかならない。その姿勢が、新たな一歩を踏み出したFI-R Evoにも確かに宿っている。
写真=中島仁菜 文=編集部 問い合わせ=BBSジャパン 03-6402-4090 https://bbs-japan.co.jp 車両協力=MCCコンプリート 048-526-1514
初出:『MOTORIST vol.4』(2025年3月31日発売)
※内容は発売当時のものです。掲載にあたり一部加筆修正をおこなっています。