BBS FI-R Evo × M4 Coupé Competition(G82)|途方もない技術力の結晶が圧倒的な造形を構築する。
果敢に挑みつづけた成果を少しも余すところなく注ぎ込む。
問答無用に見るものを圧倒させるウエイトレスホール。とてつもなく力が掛かるスポークの根元に穴を施しているから驚愕だ。
FI-Rのエボリューションモデルである「FI-R Evo」は路面からの衝撃を確実に受け止めるためにスポークをY字にクロスさせている。その数は5本と決して多くはない。つまりスポーク1本の負担はすこぶる大きい。そのなかでも力の掛かり具合が壮絶な部分に、容赦なく手を入れるのだからたまらない。
もちろんインパクトだけで施したわけではない。軽さと強靭さを真摯に突き詰めていった結果、成り立っている理に適った形状のアルミ鍛造1ピースだ。まわりの動向にはいっさい左右されずに、頑なに自分たちの価値観を信じて貫いた技術力の結晶。BBSジャパンのプライドを強烈に感じることができる。
この究極な機能美をサンビームはBMW M4にインストール。クルマの素性の良さをさらに引き上げるために活用している。贅肉を徹底的に削ぎ落とした凄みのあるスパルタンテイストを足もとで主張させる様は、誰が見ても高揚感がみなぎる。
「ルックスばかりでなく機能的にも確実に向上しています。サスペンションのセッティングが変わるほどですからね。ホイールが重いと上下動が速いですが、FI-R Evoのように軽くなるとゆっくりと動きます。それに合わせて足を柔らかくして、さらに乗りやすくさせました」
と指摘してくれたのがサンビームの福田宗弘代表だ。
BBSのホイールは取り付け作業を行うと、その凄さがダイレクトに伝わってくるという。バランスが秀逸で真円度が抜群に高いのだ。特にFI-R Evoはそれが顕著に現れる。
そのクルマに対してブレーキに干渉することなく、フェンダー内に収まるように仕立てることだけが開発ではない。荷重を吟味した剛性、さらには靭性も妥協せずに取り入れて、軽さを追求していくことこそが真髄だ。
もはやFI-R Evoは単なるホイールという役割を遥かに超越している。クルマのポテンシャルアップに貢献する頼もしいチューニングパーツだ。ユーザーの期待を裏切ることはない。
写真=中島仁菜
文=増田髙志
問い合わせ=BBSジャパン 03-6402-4090 https://bbs-japan.co.jp
取材協力=サンビーム 03-3709-4555
初出:『MOTORIST vol.2』(2024年9月18日発売)
※内容は発売当時のものです。掲載にあたり一部加筆修正をおこなっています。